他のタンパク質と同様、イオンチャネルは自然選択の産物であり(Anderson and Greenberg, 2001)、異なる種で同様のイオンチャネルをコードする遺伝子を比較すればその進化について知ることができます(Moran and Zakon, 2014)。 イオンチャネルの重要な特性は、それを通過できるイオンの種類を決定する選択性である。 ナトリウムイオンチャンネルは細菌などの原核生物で同定されており、これらのチャネルの一部は変異させることでカルシウムに対する選択性を得ることができるが、最近まで原核生物にネイティブなカルシウムイオンチャンネルは観察されていなかった。
今回、名古屋大学の入江勝正氏ら(筆頭著者:下村卓史氏ら)は、温泉に生息する細菌の一種、Meiothermus ruberで原核生物由来のカルシウムイオンチャネルを初めて同定したとeLifeに報告しました(Shimomura et al, 2020). また、真核生物のカルシウムイオンチャネルとは異なる選択機構を提案している。
下村らは、原核生物のナトリウム・カルシウムチャネルの複数のDNA配列を整列させることで、異なる種のナトリウム・カルシウムチャネルが共通の祖先から進化した様子を示す系統樹も再構築している(図1)。 その結果、祖先のようなナトリウムチャネル(現代のナトリウムチャネルと相同性あり)と彼らが呼ぶものを含む系統樹の新しい枝が発見された。 新たに同定されたカルシウムチャネルと祖先様ナトリウムチャネルの選択性フィルターは、細菌に見られるナトリウムチャネルの祖先について予測されたものと類似した配列を持っている(Liebeskind et al, 2013)、そして驚くべきことに、哺乳類由来の多くのカルシウムチャネルに見られる配列と類似している。