目的. 本研究は,急性片頭痛発作に対するバルプロ酸ナトリウム静注療法の有効性と安全性を検討することを目的とした。
背景 バルプロ酸の経口投与は片頭痛予防に有効であることが多くの研究により示されている。 現在までのところ、片頭痛の急性期治療におけるバルプロ酸の使用について検討した研究発表はない。
デザイン/方法: 急性片頭痛で来院した患者61名を対象に,文書によるインフォームドコンセントを得た後,バルプロ酸ナトリウム300 mgを静脈内投与した。 66回の発作が治療された。 点滴開始時刻,点滴終了時刻,頭痛,吐き気,その他の随伴症状の緩和開始時刻,有意に緩和するまでの時間,完全に緩和するまでの時間を記録した。 患者の脈拍、血圧、呼吸がモニターされた。 有害事象は記録された。
結果 緩和開始までの平均時間は8分、有意に緩和するまでの平均時間は16分、完全に緩和するまでの平均時間は25分であった。 66回の発作のうち37回で30分以内に痛みが重度または中等度から軽度または無痛に減少したと報告され,11回では30分以内に頭痛の重度が50%以上減少したと報告された。 このように,66回の発作のうち48回(73%)で有意な改善がみられた. バルプロ酸の投与により,頭痛の重症度は有意に減少し(P<.0001),吐き気,障害,羞明も減少し,患者はより注意深くなった. 重篤な有害事象は報告されていない。
結論 バルプロ酸の静脈内投与は片頭痛の急性期治療として安全かつ有効であると思われる。 片頭痛発作の急性期治療における本剤の使用について、さらに検討するための二重盲検プラセボ対照試験が必要である。