小核の主な原因は、染色体分離の際に紡錘体に正しく付着しなかったために、有糸分裂によって生じた娘核に含まれない染色体断片または染色体全体が先鋭化したものである。 これらの全染色体あるいは染色体断片は、最終的に核膜に包まれ、サイズは小さくなるものの、構造的には従来の核に類似している。 この小さな核は小核と呼ばれる。 小核の形成は、核分裂中の細胞でのみ観察することができ、サイトカイネシスを阻害して二核化した細胞を用いると、はっきりと確認することができます。 一つはDNAの二本鎖切断の修復がうまくいかず、染色体や染色体断片だけでなく、対称的あるいは非対称的な染色体や染色体の交換が起こることである。 DNA損傷が細胞の修復能力を超えた場合、修復されない二本鎖DNA切断は、非心性染色体断片をもたらすこともある。 偏心染色体片が生じるもう一つの方法は、相同組換え修復に関連する遺伝子(例:ATM、BRCA1、BRCA2、RAD51)の欠損により、エラーが生じやすい非相同末端結合(NHEJ)修復経路が機能しなくなり、DNA切断の誤った修復、二動染色体の形成、偏心染色体片の形成を起こす可能性が高くなった場合である。 NHEJ修復経路の酵素にも欠陥がある場合、DNA切断は全く修復されない可能性がある。 さらに、近接し、反対側の相補的DNA鎖上にあるDNAに組み込まれた損傷塩基または不適切な塩基の同時切除修復は、特に修復経路のギャップ充填ステップが完了しない場合、DNA二本鎖切断および小核の形成につながる可能性がある。
小核の形成は、核小胞ブリッジ(NPB)が形成され、伸展し、分裂期中に切断されたときに断片化した染色体から生じることもある。 このような染色体喪失現象は、centromericとpericentromeric領域におけるシトシンのhypomethylationとcentromeric DNAにおけるサテライトDNAの高次反復によってもたらされる可能性がある。 古典的なサテライトDNAは通常シトシン残基が強くメチル化されているが、ICF症候群(Immunodeficiency, centromere instability, and facial anomalies syndrome)やDNAメチルトランスフェラーゼ阻害剤による治療後に、ほぼ完全にメチル化されない状態となることがある。 セントロメアにおけるキネトコアタンパク質の組み立ては、シトシンおよびヒストン蛋白質のメチル化の影響を受けるので、低メチル化の結果としてヘテロクロマチンの完全性が低下すると、染色体への微小管の付着および微小管とキネトコアの正しい接続による張力の感知が妨げられる可能性がある。 微小核形成につながる染色体喪失の原因としては、他にキネトコアと微小管の相互作用の欠陥、有糸分裂紡錘体の組み立ての欠陥、有糸分裂チェックポイントの欠陥、中心体異常増幅、テロメア末端融合による二動原体染色体が分裂期中に紡錘体から切り離される、などの可能性もある。 染色体損失事象に由来する微小核と先天性染色体断片は、膵臓染色体DNAプローブを用いて区別することができる
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