目的:現在の高血圧管理ガイドラインでは,収縮期血圧(SBP)および拡張期血圧(DBP)の上限を推奨している。 いくつかのアウトカムにおいて,血圧とリスクのJカーブ相関が存在し,DBPの目標値の下限が適用される可能性が示唆されている。 CVリスクの高い患者を対象としたOngoing Telmisartan Alone and in Combination with Ramipril Global Endpoint Trial(ONTARGET)およびTelmisartan Randomized AssessmeNt Study in ACE iNtolerant participants with cardiovascular Disease(TRANSCEND)試験において、治療中の血圧が120~<140mmHgに到達した患者について平均到達DBPとCVアウトカムが関連しているか検討した。 このSBPの範囲は、最も低いCVリスクと関連していた。
Methods: 高リスク患者をramipril,telmisartan,および併用に無作為に割り付けたONTARGET試験とTRANSCEND試験の55歳以上のCV疾患患者のアウトカムデータを分析した。 SBPがコントロールされている(治療時120~<8637>140mmHg)患者において,CV死亡,心筋梗塞,脳卒中,心不全による入院の複合アウトカム,その構成要素,全死亡を,カテゴリー変数(<8637>70,70~<8637>80,80~<8637>90,≧90mmHg)と連続変数としての治療時の平均DBP,ベースラインDBPによる変化で分析した。 脈圧(PP)は連続変数として転帰と関連した。
結果 31 546例中1609例において,平均達成SBPは120~<140mmHgであった。 すべての転帰のリスクが名目上最も低かったのは,達成されたDBPが70~<80mmHgのときであった。 達成DBPが高いほど,脳卒中,心不全による入院(≧80mmHg)および心筋梗塞(≧90mmHg)の転帰のリスクが高かった。 達成DBPが低い(<70mmHg)ほど,主要アウトカム,心筋梗塞HR 1.54(95% CI 1.26-1.88,P < 0.0001)および心不全による入院HR 1.54のリスクが高いことと関連した。81(95% CI 1.47-2.24, P < 0.0001),全死亡(HR 1.19, 95% CI 1.04-1.35; P < 0.0001)であり,DBP70~<80mmHgと比較して脳卒中とCV死にはシグナルがなかった。 ベースラインのDBPが>80mmHgの場合は,DBPの減少がリスクの低下と関連していた。 DBPまたはPPをSBP120~<8637>130mmHgまたは130~<8637>140mmHgに分けた場合にも,転帰への関連は同様であった。
結論 DBP70~<80mmHgと比較して,SBP120~<140mmHgを達成した患者では,DBPが低くても高くてもリスクが高いことが示された。 DBPとPPのリスクへの関連は,SBPがコントロールされている場合は特に同様であった。 これらのデータは、SBPが最適に達成された場合でも、リスクはDBPが低いか高いかによって定義されることを示唆している。 これらの知見は,SBPを最適にコントロールした場合のDBPを考慮したガイドラインを支持するものである。