長期間のナトリウム過剰負荷に対する血行動態反応の時間経過をヒトで検討した。 この研究では、過剰なミネラルコルチコイド活性にさらされて高血圧になった6人の患者を対象とした。 動脈圧,心拍出量,体液量を非侵襲的な方法で,少なくとも6週間は週1回の間隔で,それ以降は最長で2年間の間隔で測定した。 細胞外液量は約20%膨張し、動脈圧は20〜40%上昇した。 当初は、心拍出量が圧力上昇の支配的な要因であった。 しかし、その後、心拍出量と体液量が正常値まで低下しても、血圧は高いままか、さらに上昇した。 特に若年者では、全末梢抵抗が上昇し始めるまでに数週間から数ヶ月を要し、初期の心拍出量上昇とその後の抵抗上昇との間に量的関係は認められなかった。 これらの知見は、流量と抵抗の変化との直接的な因果関係を否定するものである。 血管内コンパートメントの優先的拡大は高い心拍出量と関連し、一方、間質液コンパートメントの優先的拡大は高い抵抗と関連した。 このように、ナトリウムによる高血圧の血行動態パターンは、血管内および血管外のコンパートメントにおける細胞外液の分布と何らかの関係があると思われる。