この10年間、ヒトの受精における透明帯(ZP)糖タンパク質の役割に関する科学研究は、新しい知見を導いてきた。 これは、精製されたネイティブ/組み換えヒトゾナタンパク質とヒトゾナ糖タンパク質を発現するトランスジェニックマウスを用いて達成されたものである。 マウスで提案された、ZP糖タンパク質-3(ZP3)が一次精子受容体として、ZP糖タンパク質-2(ZP2)が二次精子受容体として働くモデルは、ヒトでの精子-卵結合のために修正されている。 ZP glycoprotein-1 (ZP1), ZP3, ZP glycoprotein-4 (ZP4) は、受精したヒト精子と結合することが示されている。 ZP2は、先体反応したヒト精子と結合する。 さらに、ヒトZP2単独、あるいはマウスゾナタンパク質の代わりに他のヒトゾナタンパク質を発現させたトランスジェニックマウスから得られた卵は、ヒト精子との結合を示し、ZP2も精子-卵結合に一役かっている可能性が示唆された。 この機能は、ZP2のアミノ酸残基51-144に相当するドメインにマッピングされている。 ZP3が先体反応誘導の主要なアゴニストであるマウスとは対照的に、ヒトでは、先体反応はZP1、ZP3、ZP4によって媒介されうる。 ゾナ蛋白をコードする遺伝子の変異がZPの形態や不妊に及ぼす影響については確立されていない。 さらに、体外受精の結果が思わしくない「原因不明の不妊症」の女性におけるZPに対する自己抗体の役割については、現在のところ議論の余地があり、さらなる調査が必要である。 ヒトの受精におけるZP糖タンパクの役割を理解することは、新しい避妊薬の開発や不妊症の問題を克服するための戦略として役立つ。